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読んだ本のレビューやまとめを書いていくブログです。

100万人の心を揺さぶる 感動のつくり方

 ビジネスマンの傍ら「演劇」の舞台俳優として活躍されている平野秀典氏の著書です。

 作中にもありますが、この本はビジネスでの「フォーカスシフト(視点変更)」を主題に置いた本になっています。人生や仕事を舞台と考え、演者の視点から振る舞いや心掛けを問うた本です。

 ビジネスシーンで演劇の知識を活かし人を感動させビジネスを推し進めるためのノウハウが書かれており、非常にテンポが良い文章で読みやすく自分は4時間くらいで読破してしまいました。

 例えば、ただ単に商品を紹介されてもピンと来ないがその商品に携わった人の思いやバックストーリーを語った方が共感を得ることが出来るといった内容です。

 特に自分の心に残った点としては

 ■ 三幕構成

 ■ 共演者 

 ■ 二人称シフト

です。

 ■ 三幕構成

 プレゼンや商談、面接などのの場面で舞台のストーリー構成手法である三幕構成を用いて組み立てる方法です。

 能楽では「序破急」、ハリウッドでは「アクト1、アクト2、アクト3」などと呼ばれている伝統的な手法なのですが、これがビジネスシーンでも役に立つと本書では2020オリンピック招致のプレゼンで使われた内容を元に書かれています。

 人に共感をもたらし感動させるには、ストーリーが必要でそれをテンプレート化させるのがこの方法。

 まず1幕目で聴衆を意外性のある問題提示で惹き付けて、2幕目に予想外の解決策を持ち出して、3幕目のエンディングで思いがけない証拠を提示するという手法です。記号で示すと「?、!、~」の三要素になります。

 これにより内容がより深く印象的に表現出来る技術です。


■ 共演者
 

  ビジネスの場を舞台と捉えて、顧客も共演者として捉える事で、新しいエンゲージメントが生まれます。お互い向かい合ってしまえばいつしか溝が出来てしまいますが、相手と同じ方向を見つめれば良い関係性を維持出来るという自他中心とした考え方です。

 またドラマには悪役がつきもので実際の人生にも必ずしも相反する意見の人がいると思いますが、同じドラマの共演者と思うことでその相手を乗り越えることで生まれる自分のドラマを演じることが出来るという処世術です。

■ 二人称シフト

 これは字の通り文体を二人称で考える手法です。

 普段あまり意識されないで使っている方法ですが、これを意識することでよりビジネスに効果的なマインドセットを得ることが出来ます。

 普段はどうしても一人称か三人称を説明の際に使いがちですが、本来は説明する「あなた」に向けて表現するだけで相手の心に届きやすくなるのです。

■ まとめ

 以上のような演劇を通した思考法は、新しい視座を得たい方や仕事で伸び悩んでいる方にはぴったりの本ではないでしょうか。読みやすいし時代に左右されない不変性のある内容になっているのでお勧めのビジネス書籍です。


100万人の心を揺さぶる感動のつくり方 [ 平野秀典 ]

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